【 証明写真 雑学講座】 証明写真 にうつる顔の 左右非対称 について

証明写真 での 顔 の 左右非対称 と 雌雄眼 についての解説写真

この記事のキーワードは、
< 左右非対称 > < 雌雄眼 > <顔の歪み > <印象 >< 表情 > です。

目次

証明写真 の 左右非対称 について

どうして 左右非対称 や 雌雄眼 が気になってしまうのか

【 左右非対称 や 雌雄眼 が 証明写真 で気になる理由 】

実は、「証明写真」だからこそ、顔の 左右非対称 が気になってしまうという理由が、きちんとあるのです。論理的に解説いたします。

フォトグラファー

解説者 Jun Hoshina

リクルートフォトスタジオ チーフフォトグラファー。
長年、多くの就活生や転職希望者の方と接し、多くの人がもつ「証明写真に関する悩み」について、どうしたら納得できる形で解決できるのかを研究。
大手企業での勤務経験もあるため、実際の仕事の現場や人事の現場での経験を通して、お客様へのアドバイスをしています。
早大卒。愛知県出身。

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実際の顔を観察してみるとどうなのか

普段から自分の顔は毎日鏡で見ていると思います。しかし、それは毎朝の洗顔時やお化粧時、トイレに入ったり、外出する際に見たりする「鏡」を通して見ている自分の顔です。

鏡を前にして、よく自分の顔を観察してください。
そして、顔の右側と左側を比べてみてください。

私は長年にわたり撮影をしていますが、有名人を前にしても、左側と右側がまったく均整のとれた顔を見たことがありません。
もちろん、個人によって程度の差はあれどです。

自分の顔を、鏡で覗いてわかること。それは、実際の顔は、左側と右側で各部位の形は 非対称、つまりアシンメトリーであるという事実です。

他人からはどう見られているのか

自分の顔を鏡でよく見たら、 顔は 左右非対称 であるという現実を認識できたと思います。
しかし、日常生活では自分で自分の顔を四六時中眺めていることは通常では考えられません。実は、あなた自身よりもあなたの顔を見ているのは、家族であったり、学校の友人であったり、職場の同僚です。
同じように、あなた自身は、いつも同じ空間を過ごす機会の多い、家族や学校の友人、職場の同僚の顔を、その本人よりも一番見ているということになります。

そこで、ひとつ考えて見ましょう。

あなたが、家族や、学校の友人、職場の同僚と、いつも顔を合わせるたびに、その相手の「 顔の 左右非対称 」を毎回気にすることがあるでしょうか。おそらく、会うたびに相手の左右非対称を気にするということは皆無ではないでしょうか。
ただ、よく観察してみると、家族や友人、職場の同僚の顔も 左右非対称 、 アシンメトリー なはずです。

ということを加味して考えると、あなたのお顔については他人からどう見られているのでしょうか。
おそらく、あなたが気にしているほど、「 左右非対称 」について、相手は気にしていない確率が高いというのが現実だと思います。

どうして、日常生活のなかでは、顔の左右非対称 が気にならなくなるのか

実際には、顔は 左右非対称 なのに、日常生活で暮らしている中では いつもその 非対称が気にならくなってしまうのはなぜか、それにもきちんとした理由があります。

その一番の理由は、お顔は日常生活の中で、いつも絶え間なく動いているからです。

目であれば、まばたきはもちろん、びっくりしたり興味が湧くと目が大きくなったり、眩しい光を浴びれば目を細めるでしょう。お口元も、食事の時だけではなく、会話や、面白いことに遭遇したら笑うことにより口角が自然にあがります。
その他、眉も表情筋によって上がったり下がったり、骨格も口の動きによって形が異なってきます。

しかも、その人の顔を見ている人は、斜め右前からだったり、横からであったり、真正面からその人の顔を見るという機会はそれほど多くはないはずです。

そうしたときに、あなたの顔を見ている相手は、どのようにあなたを捉えているのか。
これは、視覚認知の領域になります。
人の顔を見ている相手の人の視覚は、目から脳に伝わり認識をするということになりますが、そのときに、一連の顔を動きをバランスよく捉えてしまうのです。それは、目で見ている実際の形よりも、頭の中で固定の認識として記憶されたフィルターを通して認識するようになっています。
たとえば、「目を左右ほぼ同じもの」「笑って口角が上がれば、左右の口角は同じように上がるだろう」という固定化された曖昧な記憶をのフィルターを通して、目の前に見た顔の表情が認識されるのです。

似たような事柄で、写真撮影の用語では、「記憶色」というものがあります。記憶色というのは、人間の頭のなかで「このシーンはこの色であるはず」だ、という目の前の現実と結びついて、思い起こさせる色のことで、実際の色よりも強調されて記憶されています。例えば、「夕暮れは茜色だ」というのも「記憶色」のひとつです。実際には夕暮れ時も天候や時期などによっても色が様々に変わるもので、かならずしも茜色ではなく、現実にはかなり黄色味を帯びた色だったりすることも多いんです。
だから、実際の夕暮れ時の写真を見たとしても、「その色は夕暮れ色ではないね」ということにもなったりします。

それと同じように、人の顔の形の認識についても、ある程度のいわば「記憶形」というものがあるといえるでしょう。
この記事では、オリジナルの用語として、この人の顔の視覚認識をする脳の働きを、<記憶形>と呼ぶとことにします。
そのような、頭の中の記憶のフィルターを通して、かつ、絶え間なく動く顔を見ているうちには、「 顔の 左右非対称 」というものは一切に気にならないわけです

それでは、どうして、証明写真 になると、顔の 左右非対称 が気になる人が、とてつもなく多くなるのでしょうか?
次の章でご説明します。

90%以上の人が 証明写真 で気にしていること、それは 顔の 左右非対称

証明写真で 顔の 左右非対称 がとても気になってしまう人が多くなる理由。
それは、証明写真 というものがもつ本来の性質によります。

証明写真は、<真正面>向きのお顔を写した<静止画>であるという性質です。

証明写真で顔の非対称がとても気になってしまうのは、真正面向きの静止画である、ということが理由です。

なぜかというのを、解説いたします。
そもそも、日常では「まったく止まったまま」の顔と接する機会は、ほとんどありません。寝顔ですら、微動しています。
人のお顔というのは、前章でもお伝えしましたが、日常は絶え間なく動いているものなのです。
動いているものに対しては、<記憶形>を通してバランスよく見てしまうのですが、止まっているものに対しては、動いているものを見るときよりも、注視をするようになるのです。動いているものを見ているときは、視点はさまざまな箇所に分散されますが、静止しているものに対しては、人の目は形やバランスの把握に目が行くようになるといってもよいでしょう。

しかも、証明写真は、ほぼ<真正面>の静止画です。欧米のプロフィール写真のように斜め向きであれば話は違いますが、日本で使用される 就職 や 転職 の履歴書・ エントリーシートに添付する写真は、ほぼ100%というくらいに 真正面の 顔写真です。

斜め右向きのポートレートを見た場合には、左顔の顔面が前に出てくるため、必ず左右非対称は強調されます。しかし、左側が前に向いているということを認識できるため、静止画でも左右非対称で当然だろうという脳の認識になります。

しかし、真正面向きならばどうでしょう?

真正面向きの静止画で、前章で伝えた<記憶形>のフィルターが現れたときに、大きなショックを受けるわけです。
「目の左右は対称のはずなのでは?」「口角の高さは対称のはずなのでは?」という前提とは大きくかけ離れて見えるために、その アシンメトリーに気を取られてしまうという結果になります。

左右非対称 や 雌雄眼 であることで、何が問題なのか

前章で述べた通り、顔面のそれぞれの部位は左右は対称であろう、つまりシンメトリーであるという<記憶形>に基づいた脳の記憶での視覚認識であった場合、実際とかけ離れているために、大きなショックを受ける方が多いのです。

それでは、実際に 左右非対称 であること、たとえば 目の大きさが左右大きく違うことを < 雌雄眼 >といいますが、それによって証明写真においては、何が問題なのかを考えてみましょう。

左右のアシンメトリーは、実は人間らしさや表情として捉えられる

実は、この記事を読んでいる多く左右非対称を気にしている方の期待を裏切るのかもしれませんが、真正面向きの証明写真において、お顔の左右非対称がもたらす、大きな良い効果というものがあります。

ひとつは、 左右非対称 が、<人間らしさ>を見る相手に伝えるということ。
もうひとつは、 左右非対称 が、< 表情 >を見る相手に伝えるということ。

別のブログでも過去に述べていますが、<左右対称>というのは均整美ではありますが、それゆえに<冷たい印象>を与えます。よく話題で、お顔の整った美女が<お高く止まっている><冷たい印象>と捉えられてしまうのは、お顔が均整美で保たれているからこその弊害なのです。

こちらの、能面の写真を見てください。ほぼ均整の取れた顔面ですが、冷たい印象を与えませんか?

証明写真の 左右非対称 と 雌雄眼。専門スタジオで撮影する意味
証明写真の 左右非対称 と 雌雄眼専門スタジオで撮影する意味

実際には、能舞台の観客に表情を伝えるために、左右の口元のバランスを崩した面もあったりするそうです。
上の写真では、向かって右側が少しアシンメトリーに作られたお面です。

極端な話ですが、こちらのウインクをしている女性の顔は生き生きしてチャーミングに見えませんか?
でも、お顔をとしては、表情を大きくつけることによって左右が完全に非対称になっているはずです。

証明写真 での 顔 の 左右非対称 と 雌雄眼 についての解説写真
証明写真 での 顔 の 左右非対称 と 雌雄眼 についての解説写真

< 雌雄眼 >についても、印象があります。
よく 雌雄眼 は 気持ち悪い、という風に思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、雌雄眼だからこそ伝えることのできる印象というものがあります。
ひとつは、「 親しみやすさ 」「洞察力の深さ」「理知的」「野心がある」といった良い印象ももたらします。

有名人でいえば、政治家で首相の岸田文雄さんは、雌雄眼です。もともとが端正なお顔立ちですが、雌雄眼であることによって、理知的な印象を与えているのです。それが整いすぎていたら、もっと冷たい、近寄りがたい印象になってしまうはずです。
同じように政治家で麻生太郎さんは、左側の口角がかなり下がって見えますよね。それでも、その歪みによって、ぱっと見は気難しそう、怖そうなイメージを最初の印象で与えても、少しチャーミングな印象を付け加えることができるのです。

ひとつ伝えたいのは、<均整美>が必ずしもそのまま良い印象につながるわけではないということです。
その人の人間らしさや、表情の一端として捉えられることが一般的には多いのです。

どうしたら、左右非対称 や 雌雄眼 を軽減できるのか

顔の部位の 非対称 は、実は形の問題だけではないという盲点

もうひとつ、お顔の各部位のアシンメトリーについて、皆さまに認識をしておいてほしいこと。
よく、「右側の口角だけが上に上がっているんです」「左目が大きくて、高いんです」というような言い方のお客様が非常に多いのですが、実は上がったり下がったりというのは正確ではありません。

実際には、お顔のある面の歪みによって、大きく見えたり、上がって見えたり、下がって見えたりするのです。
要は、「形」の悪さではなく、「歪み」によって、アンバランスが強調されてしまうということを覚えておいてください。

よくあるパターンは次のようなものです。

・右側だけ顔が広くて目が大きく見えてしまう
→実は、右側が左側よりも膨張しているお顔です。

・笑うと左側の口角だけが上がらない
→実は、人中から顎にかけて、少し弧を描くような右側への顎の歪みがあるから、左側の口角が下がって見えるのです

実際にモデルさんのお顔で見て見ましょう。

証明写真 での 顔 の 左右非対称 と 雌雄眼 についての解説写真
証明写真 での 顔 の 左右非対称 と 雌雄眼 についての解説写真

何がいいたいのかと申しますと。

もし、フォトスタジオ や 写真館 でレタッチをしてもらうときに、形を変えてしまったら、その人の印象が大きく崩れてしまうということです。歪みを意識した撮影をしていれば、レタッチ前でもその歪みのいくらかを軽減することはできます。
ただし、その顔の歪みの認識ができるフォトグラファーでなければ無理でしょう。

お顔をパネルに見立てれば、3Dパネルと把握して、縦横左右の立体的に動かしてゆき、一番バランスのいい位置で撮影をするというのが真正面の証明写真撮影の勘所です。

よく当店にお越しいただくお客様で、「他のお店でレタッチしてもらったら、自分の顔じゃないみたいで」とおっしゃる方は、おそらくバランスの悪い位置で撮影した写真で、お顔の部位、たとえば口角の形を上げたり下げたりして、形を変えてしまったことに起因するものが多いというのを、筆者はお客様がお持ちになる<失敗した写真>から判断しています。

レタッチするのであれば、形を変えるのではなく、お顔を歪みを若干戻してあげるというレタッをした方が、自然に仕上がるというのはこのような理由からです。

ただ、長年多くの真正面向きの証明写真を撮り続けて思うことは。

ある程度の 左右非対称 の方が、人間らしさや表情などが出て、素敵に思うのです。

この記事は、リクルートフォトスタジオ の長年の 証明写真 撮影で得た経験や研究に基づいています。無断での複写 ・ 転載は禁じます。

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